現代小話





「わあ……桜が綺麗だね……」
「ああ……そうだな……」
「ねえ今度お花見しようよ」

学校の帰り道、俺はあかねとそんな話をした。

「あいつの……詩紋の手料理があるといいな」

そんな望みをぽろりとこぼした時。

「あかねちゃん!天真先輩!」

その本人が後ろから駆け寄ってきた。

「詩紋!」

相変わらず無邪気で可愛らしいその姿に自然と笑みが浮かんでくる。
まるで天使のような奴だな……。

こんなに愛らしいのにいじめる奴の気が知れない。
いや……好きな奴ほどいじめたくなるっていう曲がった愛情表現だったりするのだろうか?あのいじめっ子たちは……

あ……

「わあ!」

俺とあかねが詩紋の声に振り返り立ち止まって駆け寄ってくる姿を眺めていると……
目の前まで来た時、詩紋は何かにつまずいてよろめいた。

「危なっ!」

俺は慌ててもうすぐ転びそうだというところで詩紋の体を支えた。

「ご、ごめんなさい天真先輩!」
「まったく……お前は本当に危なっかしいな……」
「本当にごめんなさい……」
「大丈夫?詩紋くん」
「うん……天真先輩が転ばないよう支えてくれたから……」
「ははは……気をつけろよ詩紋」
「ありがとう天真先輩。今度から気をつけるよ」

本当にいろんな意味で目が離せない奴だな。

俺はお前のその笑顔をいつまでも見ていたいと心から思うんだ。
だからその笑顔を曇らせるものからどうかお前を守らせてくれ……





Fin.





携帯サイトの拍手お礼SSで過去に書いたものです。